日本医療法人協会ニュース 2025年11月号

■巻頭言
       日本医療法人協会 理事/社会医療法人弘恵会ヨコクラ病院 院長
        横倉 義典
      
      ■特別座談会
 西嶋康浩・厚生労働省医政局地域医療計画課長を迎えて
       新たな地域医療構想は"今布る医療資源"を活用して地域ごとの体制を構築する
      
      ■レポート 医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会
       制度議論を現場実装へ医療法人の安全管理体制と制度的後押しを議綸
       日本医療法人協会 副会長/医療安全部会長/社会医療法人博愛会菅間記念病院 理事長 
  菅間 博
      
      ●「医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会」議論の方向性を誤るな
       日本医療法人協会理事/鹿児島県医療法人協会会長/医療法務・政策研究協会理事長
       小田原良治
      ●第2回経営講座のこ案内
●第40回全国医療法人経営セミナー開催のこ案内
●NEWS DIGEST 
●独立行政法人福祉医療機構貸付利率表 
●編集後記
日本医療法人協会 理事
社会医療法人弘恵会ヨコクラ病院 院長
横倉 義典新型コロナウイルス感染症(COVID-19) パンデミックで社会生活は一変しました。世の中の動きは元に戻り一見以前と同じような日々となっていますが、生活のあちらこちらに変化が見られます。我々医療従事者にとって最も身近な変化はマスク着用ではないでしょうか。以前は手術室などの特別な場所以外でのマスクは感冒やインフルエンザ流行期にこそ全員が着用していましたが、普段は着用せず過ごしていたと思います。しかし現在は院内マスク着用の病院が多いのではないでしょうか?飲食や会食の習慣も変わりました。社会での人と人の接点が減少したようにも感じますが、必要なところは残っていますし新たな形での社会交流がこれから根付いていくのでしょう。
私たちが生業とする医療も大きな転換点を迎えています。2025年を目標とした地域医療構想も次は2040年に向けてと、姿を変えます。診療報酬改定や社会の物価高騰などによる医療機関の経営悪化はすでに各方面から叫ばれている通りです。国民の受診変容の影響とも言われますが、そもそも医療とは人々の健康と安全、生活の安心を確保するための基本になります。出生数の減少が続き、高齢者の数と割合は上昇する一方だったために日本の人口構成が大きく変化していくこれからの時代、すべての分野において今まで通りでは時代の変化を乗り越えることはできないでしょう。働ける世代の人口が減少するのだから仕組みを変え科学技術等の進歩を取り入れ大きく変革しなければ医療提供体制の維持も困難です。戦後日本の復興と高度経済成長を経て今まで日本の医療は発展維持されてきました。
医療は社会的共通資本であるという考え方があります。医療を「人々が豊かで人間らしい生活を営むために、社会全体で共有し、維持・管理すべき資本」と捉えて形作る。まさにこれまでの日本の医療提供体制がその形を具現化していたのではないでしょうか。しかし国民医療費の増加、医療の高度 化・高額化、負担の世代間格差などの課題が噴出し経済大国としてゆとりを持って国民に医療を提供してきた我が国は、経済的に苦しくなったその代償として医療についても厳しい目を向けています。私たち医療従事者は、目の前の患者や家族を助けることを使命として日々取り組んでいます。病に対して予防し治療できる環境の中で人々が安心して生活できるための「医療」だからこそ社会的共通資本ではないでしょうか。これからの日本の医療が直面する変革の時代、皆さんの叡智を集めて乗り切れることを願っています。
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