日本医療法人協会ニュース 2026年6月号

■巻頭言
星野 豊
日本医療法人協会 常務理事/社会医療法人豊生会 東苗穂病院 理事長・院長
■特別座談会
林修一郎・厚生労働省保険局医療課長を迎えて
2026年度診療報酬改定を経て
ルールありきではなく現場の「創意工夫」に期待
■看護人材の養成・確保の在り方を考える
2040年に向け必要なのは医療と介護の重なりを理解し、
高齢患者を看護ることのできる「Genenal Nurse」の養成
菅間 博 日本医療法人協会副会長に聞く
■イベントレポート 医療と消費税に関するシンポジウム
■2026年度第1回経営講座のこ案内
■春の叙勲
■ニュースダイジェスト
●独立行政法人福祉医療機構貸付利率表
●編集後記
日本医療法人協会 常務理事
社会医療法人豊生会 東苗穂病院 理事長・院長
星 野 豊2026年度の診療報酬改定は、本体改定率 がプラス3.09%と30年ぶりの高水準となりました。昨年の骨太の方針で高齢化率の伸びの範囲に医療費を抑えるルールが外れたこともあり、賃上げ分の1.7%を差し引いても報酬本体が1.39%増を成し得たことは、当協会をはじめ関係団体などの熱心な活動によるものと感謝申し上げます。
一方、年3%近い物価上昇や人件費増・人材不足など大変厳しい状況が続いており、まだまだ安堵できる段階ではありません。また改定の数値ばかりでなく、詳細を読み込んでみますと、報酬単価は上昇しているものの、リハビリの実績指数や救急搬送件数など、算定要件が一段と厳しくなっている点が目に付きます。また、今回の改定で新設された急性期病院一般入院基本料と地域包括医療病棟の併存は認められないなど、高度急性期と二次救急・高齢者救急の機能分担がより明確になってきているように思えます(急性期病院で介護施設からの救 急搬送はカウントされない、二次救急からの上 り搬送要件など)。
高齢化の進展の最終段階に入り、このところ厚生労働省は「治す医療」から「治し支える医療」への転換を訴えていますが、今回の診療報酬改定では「治す」と「治し支える」機能の住み分けがされたとも言え、現在詰めの段階に入っている新たな地域医療構想に連動するものと考えます。地域の事情にもよりますが、大病 院での在宅支援機能や中小病院での急性期を含めたケアミックスは難しくなるでしょう。外科的技術の進歩や機械化、カテーテル手術や内視鏡治療・再生医療など「治す医療」に軸足を置いた急性期医療機関と、在宅や施設で安心して暮らし続けるための「支える医療」を提供する病院を含めた医療機関(総じて包括医療と呼ばれてきている)に大きく二分されていくと考えます。前者は高度先進医療の導入や、広域かつ迅速性の向上を目指し、後者は在宅での療養をよりしっかり支えるために医療と介護の連携が一層重要となってきます。
団塊世代が75歳以上の後期高齢者となった節目の2025年を経て、今や焦点はこの世代が85歳以上となる2040年に移っています。85歳の場合、75歳時に比し有病率で約3倍、要介護認定は約2倍であり、2025年時点の85歳以上の人口が707万人であるのに対し、2040年は1,006万人に達すると予想され、医療と介護の複合ニーズを要する在宅高齢者が一層増えることが見込まれます。これには医療と介護の垣根を超えた多職種の連携・共働が必須で、また制度上でも医療・介護保険の狭間を埋める検討も望まれます。
人生100年時代、社会通念を含めた地域ニ ーズや人口構造が大きく変わろうとしているこの時代に、なんちゃって救急や在宅では通らないこと、自院を含めて地域での役割・機能をしっかり見極め、担っていくことが、この厳しい医療業界で生き残るために極めて重要だと、今回の改定で強く感じました。
特別座談会
林修一郎・厚生労働省保険局医療課長を迎えて
2026年度診療報酬改定を経て ルールありきではなく現場の「創意工夫」に期待
2026年度診療報酬改定が6月に施行された。 病院の7割が赤字という極めて厳しい経営環境を背景に、 本体改定率は30年ぶりの水準となるプラス3.09%となった。 物価高や賃上げへの対応に重点が置かれた一方で、2040年を見据えた医療提供体制の再編や病院機能の分化、限られた人材を前提とした運営への転換という大きなメッセージも込められた。一方、中小民間病院の現場では、以前として物価高や人材不足、地域差への危機感が強い。今回の改定は、どこまで現場を支えるものとなるのか。病院は新たな評価体系をどう読み解き、経営に生かすべきなのか。厚生労働省の林修一郎・保険局医療課長に、2026年度改定の狙いと今後の病院経営に求められる取り組みを聞いた。(以下 掲載略)
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